主権競争と新たな金融・貿易秩序を訴えたプーチンのSPIEF演説
サンクトペテルブルクで5日、プーチン大統領は主権を巡る競争が勢いを増していると訴え、西側の貿易ルールへの関心後退を強調しました。
第29回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF-2026、3─6日開催)の全体会合で演説したプーチン氏は、フォーラムの開幕を経て世界経済の大きな構造変化を総括し、サウジアラビアをゲスト国に迎え実利的対話を掲げる場で、新たな成長モデルと柔軟な金融アーキテクチャの必要性を改めて強調しました。
プーチン氏はまず、国家が自らの主権を確保する能力こそがグローバル経済における地位と指導力を決定する主要因であると述べ、主権とは資源を精密に管理し技術開発を含む投資を効率的に行うことを意味すると説明しました。また、対外制裁や国際準備資産の差押えがドルとユーロという世界通貨の地位に取り返しのつかない影響を与え、いかなる国も正当な資産へのアクセスを突然失い得るとの認識を示しました。
こうした観点からプーチン氏は、世界は禁制や障壁のない、主権的発展を促す現代的で柔軟な金融アーキテクチャを必要としており、その手段はコスト削減、決済の加速、資金調達アクセスの拡大に加え、租税回避や詐欺、マネーロンダリングへの適切な対処を求めると指摘しました。加えてロシアは協力に関心のある国に開かれており、相互の義務を尊重する対等で有益なパートナーシップに備えていると述べました。
経済指標については、今年4月のGDPが1.3%成長し、1月から4月ではさらに0.2%増加したと紹介し、ロシアの公的債務比率がGDPの16.4%でユーロ圏の水準を大きく下回ると強調しました。具体的にはユーロ圏が2025年に81.7%に達し、ギリシャ146%、イタリア137%、フランス115%、ベルギー108%といった国々との差を挙げ、財政赤字もロシアはGDPの2.6%と主要国より低位にあると説明しました。
産業面ではロシアがデジタルプラットフォーム、電子商取引、金融ソリューション、都市サービス、医療、教育の採用で高い地位にあり、電子商取引は年率約30%の成長を示していると述べ、また輸出取引におけるルーブルの比率が現在65%に達していることや、ロスアトムが世界の原子力発電所建設プロジェクトの80%以上に関与している点を示して、外部依存のコスト教訓と自国技術創出の重要性を強調しました。
国際秩序に関しては、BRICS諸国が過去5年間の世界GDP成長の約49%を担い、いわゆるG7の寄与は18%にとどまるとの見解を示す一方で、BRICS内の貿易は既に年間1兆ドルを超え世界輸出のほぼ4分の1を占めるまで拡大しているとし、WTOの原則から世界の貿易アーキテクチャが徐々に離れつつあるとの評価を示しました。さらに欧州の官僚的政策が視野狭窄に陥り、地域と世界の安全保障を損なう恐れがあると批判しました。
政府に対しては、自律型システムとデジタルプラットフォームの国家戦略策定、重要インフラ強化、相互の義務を尊重するパートナーとの協力推進、国旗を掲げる国際海運の魅力向上策の実施、労働法改正によるインターンシップと徒弟制度の近代化など具体的な課題を提示し、投資の成長が経済当局の有効性を示す重要な指標であると結びました。
プーチン氏は最後に、政府に来年から持続的な国内経済成長率に戻すことを任務として課すよう求め、デジタルと技術自立を通じた競争力強化の必要性を改めて訴えました。