中国の回復とロシアの緊張が同時進行、BRICSに景気と安全保障の二重課題
中国の景気回復と構造改革が進む一方で、ロシアの地政学的緊張と通貨決済の再編がBRICS内の経済重心を揺さぶっている。中国は第1四半期の実質GDPが前年同期比で5.0%増と成長を維持し、工業生産と固定資産投資もそれぞれ6.1%増、1.7%増にとどまるが成長基調を支えている。これに対してロシアはルーブル建て決済の比率が2月に60%に達し、ルーブルの実効実質為替レートは3月に3.7%下落するなど、通貨面での調整と分散が進行している。
ブラジル
ブラジルでは財政と社会政策を両輪に据えた成長見通しの提示が中心となっている。連邦政府は2027年の提案最低賃金を1,717レアルに設定し、一次収支黒字目標を73.3億レアルとしたほか、同年のGDP成長率を2.56%と見込むLDO案を提出した。経済活動面では2月の総合活動が0.6%増、小売売上高も0.6%増と底堅さを示す。対外資金では国際債発行で50億ユーロを調達し、住宅支援のミーニャ・カーザ対応では割当を2,000億レアルに増額する方針を示す。一方で中央銀行は協同組合Creditagの裁判外清算を実施し、社会支援ではカイシャ・エコノーミカ・フェデラルが4月にボルサ・ファミリアの支払いを開始すると発表した。
ロシア
ロシアでは通貨決済のルーブル化と地政学的緊張が同時に進行している。ルーブル建ての対外貿易決済比率は2月に60%に達し、ルーブルの実効実質為替レートは3月に3.7%低下した。国内物価は直近の年率で5.86%のインフレを記録し、市場アナリストは2026年の主要政策金利見通しを平均14.1%に引き上げている。輸出側ではトルコ向けパイプライン天然ガス供給が1〜2月で27%減少する一方、カザフスタン経由のCPC原油出荷は第1四半期に32%増加した。安全保障面ではベルゴロド州で過去24時間にウクライナ側から無人機120機超の攻撃があったとの報道があり、対外関係ではインド向けのS-400ミサイル引き渡しが間もなく完了するとされ、両首脳の相互国賓訪問が発表されている。
インド
インドでは物価安定と投資呼び込みの取り組みが並走している。公式統計は3月の小売物価上昇率を3.40%と示し、食料品価格の抑制が物価上昇率の緩和の主因となった。財務相ニルマラ・シタラマンはノルウェーでインドを投資先として売り込み、地方レベルではマハラシュトラ州がクリーンエネルギー、AI、鉄鋼を対象に約1.75兆ルピー相当の覚書に調印した。中央政府は四州を対象とする鉄道の複線化プロジェクトを約1,851億ルピーで承認し、石炭省は4月17日に商業用石炭鉱の第15回入札を開始する予定である。
中国
中国では成長維持と戦略分野の開放が並行して進む。第1四半期のGDP成長率は前年同期比で5.0%増、工業生産は6.1%増、固定資産投資は1.7%増と実体指標は回復基調を示す一方、人民元は対米ドルで約6.8616まで弱含んだ。北京は通信、バイオテクノロジー、医療など戦略分野のさらなる開放策を発表し、国策として先端技術投資を後押ししている。海運・技術面では世界最大の純電動インテリジェントコンテナ船が就航し、合肥では燃焼プラズマ実験用の超伝導トカマク建設が続いている。行政では国務院がマカオ特別行政区の経済財政担当局長を更迭し、人的・制度面での調整も行われている。観光面では中国本土から日本への観光客到着数が3月に半分以上減少した。
南アフリカ
南アフリカでは政治的対立と司法・調査案件が政府運営と財政余地を圧迫している。ANCはクワズールー・ナタール州の州PTT召集者にスブ・マブヤカニュルをジェフ・ラデベの後任として指名し、マドランガ調査委員会は公開審理を継続している。PIE修正法案がシメラネ大臣の説明会で取り上げられ、ジュリアス・マレマは実質的に懲役5年の判決を受けた。モダック事件では証人が元上級警察幹部の汚職関与を供述し、モレモレの入札捜査では捜査当局がさらなる逮捕を示唆している。企業面ではトンガート・ヒュレットが暫定清算の申立てを受け、国際機関は公的債務の増大が政府の財政余地を制約しているとIMFが警告している。
総括
今回の動向で最も明確になったのは、成長維持を目指す中国の内需・先端投資と、ロシアにおける決済通貨の自国化や地政学的緊張が同時に進展している点である。これにブラジルの追加的債券発行やインドの大型投資誘致、南アの財政圧迫が重なり、BRICS内部で景気支援の必要性と安全保障・財政制約が鋭く対立していることがグローバルな資金フローと供給網の混乱という具体的リスクを高めている。