BRICS、燃料価格高騰と供給規制が世界エネルギー市場に波紋
ブラジルの国営石油大手ペトロブラスが航空用ケロシン価格を55%引き上げた動きと、南アフリカでの国際原油価格の1バレル100ドル超の水準が相まって、BRICS圏内で燃料価格と供給を巡る調整が一斉に進行している。ロシアはガソリンの輸出禁止を石油製品の生産者にも拡大し、北極海航路の貨物輸送量が前年同期比で15%増加するなど輸送・供給の地政学的変化も鮮明だ。
これらの動きは、各国が国内需要や安全保障の観点から供給制御や価格改定を実施する一方で、中国の人民元の強含みや工業・港湾の技術供給といった経済面の安定要素が混在する複雑な局面を作り出している。輸出規制、価格改定、物流変化が同時に進むため、世界のエネルギー需給と金融市場に短期の価格変動と中期の供給再編をもたらす構図が浮かび上がる。
ブラジル
ブラジルでは燃料価格の引き上げと国内供給確保の検討が並行している。ペトロブラスは航空用ケロシンの価格を55%引き上げ、ディーゼルの国内自給を5年以内に実現する計画の検討を進めている。2月の石油・天然ガス生産は過去最高を記録した。連邦政府はガスが公式価格表を上回る価格で売却された疑いを受け入札の無効を求め、連邦区はディーゼル価格引き下げを目的とする合意に加わった。鉱工業生産は2月に0.9%増加し、バンコ・ド・ブラジルは債務条件見直しプログラムを4月30日まで延長したほか、連邦公務員向けの食事手当は1,192レアルに引き上げられた。
ロシア
ロシアでは軍事的緊張と外交接触、エネルギー供給管理が同時に進展している。プーチン大統領はエジプト大統領を招く意向を示し、サウジアラビアの皇太子との電話協議が予定される一方で、ウクライナ紛争に関する米国との接触チャネルは維持されている。クルスク州で24時間に47機のドローン攻撃が確認され、ウファでは住宅被害を含む数十件のドローン攻撃があった。特殊軍事作戦区向けにスクヴォレツ・オプト無人機の第一陣を配備した。ガソリンの輸出禁止は石油製品の生産者にも拡大され、北極海航路の貨物輸送量は2026年に入り前年同期比で15%増加した。2025年の固定資本形成は2.3%減少し、3月24日〜30日の物価上昇率は0.17%だった。
インド
インドでは立法と経済施策の両面で前進が見られる。第18期ローク・サバーの初会期が開かれ、首相と新たに選出された議員らが宣誓を行う準備を進めるなか、経済サーベイ2026年版が議会に提示された。ジャン・サマルト・ポータルは約1兆ルピー超の融資申請を処理し、インドとイスラエルは自由貿易協定交渉開始に向けた基本合意書に署名した。PMスーリヤ・ガル・ヨジャナによる屋根置き太陽光の設置は260万件に達し、南部オディシャ州の国道326号改修には約152.6億ルピーの予算が閣議で承認された。NHAIはFASTag規則を改定して顧客確認(KYC)手続きの完了を義務化し、約1,200人の自国民をイランから周辺ルートで退避させたと報告した。
中国
中国では通商・通貨・技術面での変化が続いている。香港は物品貿易で世界第5位の取引主体に浮上し、人民元は対ドルで1ドル=6.8880元まで強含んだ。北京の高級フォーラムで第15次五カ年計画の科学目標が再確認され、中国は海外での工業成長促進手段としてゼロ関税政策を評価しガーナの例を挙げた。AI主導の「ワンパーソン・カンパニー」モデルが台頭し、東部では世界水準の打ち込み船が納入され、江蘇省から大型シールド掘削機が出荷された。4月2日に公表された公式基準値は市場参加者が政策指針や地政学リスクを見極める中で示された。
南アフリカ
南アフリカでは国内政治と治安、インフラ・産業面の課題が混在している。ハウテン州の州首相パニャザ・レスフィはエフエフ党員のンクルレコ・ドゥンガを州財務担当閣僚(MEC)に任命し、民主同盟(DA)は国家税務当局にパトリオティック・アライアンスに関連する資金の調査を求めた。ある閣僚がナイジェリアの酋長の戴冠式を公然と「幼稚園の見世物」と切り捨て外交的緊張が表面化した。国際市場の影響で原油価格は1バレル100ドルを超え、ヨハネスブルグではブリクストン貯水池の建設が迅速に進められている。大手自動車メーカー2社が国内で合計500台超に影響するリコールを発表し、SAPSは防護警備サービスに絡む汚職疑惑に関与したとされるキャプテンを停職処分にした。東ケープ州警察は犯罪対策支援のための兵士投入を歓迎した。
総括
燃料価格の上昇と各国による供給調整が同時に進行しており、世界の需給と価格のさらなる乱高下を招く構図が鮮明になった。BRICS内では中国の輸出・工業支援策と、ロシアやブラジルの輸出規制や国内値上げに代表される資源管理策との間で政策的矛盾が拡大し、協調的な対応を困難にしている。